今月の三輪山(会員)
昨日まで日本列島に居座っていた今季最大の寒波が洋上に去った。
参道の木立から、久方ぶり朝の光がきらきらと眼を射し、冷えた頬を温めてくれる。
立春も過ぎて2月11日の登拝は総勢二十九名。 初めて素足で登ると聴いて怖気づき、「イヤよと駄々をこねていた人も、勇を奮って登りはじめる。山路の半ばを過ぎたあたりから「あぁ、冷たくない、気持いい。 裸足になって良かった」と感激の声をあげていた。
高宮社、奥津磐座でいつもの通り厳粛に拝礼後、今回は重要な行事が待っている。龍神の磐座、椿の磐座で、注連縄(しめなわ)を掛け替えることだ。太い注連縄をそろりそろりと、形を整えながら掛けてゆく。
紙垂(しで)を取付ける際は、どのようにして綺麗に 且つ厳かに飾るか、みんなの智慧と手を出し合わねばうまくいかない。 ・・・今回は実にスムーズに作業は運んだ。
「美和の心」 はここにも在ったのだ。
龍神の磐座で祈るその時、穏やかだった空気が揺れはじめ、一陣のつむじ風が吹き抜けた。 根本先生によると、「龍神の風」だそうな。皆が心をひとつにして成し遂げた事へ、神は愛でてくださったのだろうか。
春未だ浅き今日のお山。爽やかさこの上もなく、神にしばしのいとまを告げて下山した。(畠山恒一)